魚をバラしてしまう方の特徴の一つ

ロッドの立て方

你好。日本の皆様こんにちは。台灣のRYOです。
今回は、かなりマニアックなAUXレポートとなりますが、座学の読み物としてお付き合いくださいませ。

私の使用しているBC4 5.10シリーズですが、ガイドお客様の持ち込み率や使用率も高くなってきており、とても嬉しい毎日です。
一方で「魚がバレる」「硬くてバットまで曲げられない」「曲げるの意味が分からない」という悩みを抱えたお客様もいらっしゃいます。

ここからは長年ロッドの開発に携わってきた経験を元にご説明させて頂きますので、難しいご説明、堅苦しい内容となります事をお許しくださいませ。

BC4 5.10シリーズに限った内容ではありませんが、私の台灣ガイドへ来てくださるお客様の中でも、ファイト中に「ロッドを立てられない」方が多くいらっしゃいます。

魚をバラしてしまう方の特徴の一つとして、
・ロッドを立てられない。
・ロッドを根元(バット)まで曲げられない。
・ファイトタイムが長い。
一例として、上記の事が多く上げられます。

圧倒的に魚を途中でバラしてしまう方の多くは、ロッドを横に倒してファイトをする方が多く、魚を途中でバラしてしまいます。
または、過剰にロッドを立てて、ロッドを折ってしまう方もいらっしゃいます。

ひと昔前の釣り名人やメディアで、よく言われていた事ですが「ロッドを立てるな」というフレーズがあります。
釣りの師匠に言われたので…という方も多いかと思います。
そもそも「ロッドを立てるな」というのは、間違いではありません。
ただ、説明不足なのです。
では、何故ロッドを立ててはいけないのか?
そして、何故ロッドを立てる必要があるのか?

「ロッドを立てるな」という表現は「グリップを支点にロッドを立てるな」「ティップだけ曲げるな」というのが、正しい表現となります。
ロッドを立てるという事は「ロッド全体に負荷を掛けてロッドを曲げる」という事になります。

説明する側・実践する側が、間違えて解釈している場合が多く、結果的に魚がバレる・ロッドが折れるという事になってしまいます。

余談となりますが、ヘラブナ釣りに代表される延べ竿を使用して、座りながら釣りをする釣り人は、ロッドを横にしてファイトするでしょうか?

リールのついていないロッドで、決まった長さのラインと延べ竿で、ロッドを立てずにファイトするでしょうか?
答えは、皆さんノーだと思います。

延べ竿こそ、ロッドをしっかり立てて、腕と体を使い、バットまでしっかり曲げてこそ、真の威力を発揮させられるのです。
ロッドとラインの長さが決まっている以上、ファイトするにはロッドとラインと体の全てを使う必要があります。

もう一つ余談となりますが、ロッドを開発するにあたり、ロッドの破断テストという作業を繰り返すのですが、その一つとして「垂直絞り込み」という作業があります。
これは、ロッドティップに高負荷を掛けて、どれだけの力でロッドが破損するのかをテストします。
例えば、5kgの重りをロッド全体を曲げて持ち上げる事が出来ても、ロッドティップだけでは5kgの負荷に耐えられずに簡単に折れてしまいます。
「垂直絞り込み」の状態は、釣り人がしゃがんで、ロッドを立てて、魚を取り込む動作に似ています。
釣り人は、ロッドに負荷を掛けていないつもりでも、過剰にロッドティップだけが曲がって、折れてしまうケースがあります。
これは完全に人為的なミスの破損となります。

もうお分かりかと思いますが、「ロッドを立てる」というのは「バットまでしっかり曲げろ」という意味なのです。
ティップやベリー部分だけで、ファイトしていてはロッド機能の半分も使えていません。
ロッドの機能を最大限に発揮していなければ、魚のパワーも受け止められませんし、魚の走りも止められませんし、魚を寄せたりする事も出来ません。
また、過剰な角度でロッドに負荷が掛かり、破断強度以下の力でロッドは簡単に折れてしまいます。

ロッドを横に倒してファイトするのを否定する訳ではありませんが、特に台灣のバラマンディを例にすると、一般的に日本に生息するゲームフィッシュよりも、ルアーを吸い込む力、パワー、走りも強く、釣り人側が予期せぬタイミングでジャンプしたり、エラ洗いをしたり、手前へ走ったり、左右へ方向転換します。
ロッドを横に倒してファイトしていては、反対側へ走る魚へ対応する際には、人間が感知して逆方向へラインテンションを掛け直して対応するのは不可能です。
結果、テンションが緩んでバレるという結果となります。
また、ロッドを立てていれば、魚が左右どちらに走っても、ラインテンションが張る距離は決まっていますので、最短でラインの緩みを処理する事が可能です。
大切なのは、最速最短でラインスラッグを処理できるかどうかです。

理論的には、常にテンションを掛けていれば、走られても、ジャンプされても、リールを巻き続ければ、テンションは加わった状態になりますが、走っている魚のパワーを無視して、巻き続けても、魚が暴れるだけとなります。
無駄に暴れてドラグが出されて、走られて、ファイトタイムが長くなってしまいます。
魚の走りに合わせて、ロッドで寄せたり、リールを巻いたりを繰り返す必要があります。
この行為が俗に言う「魚をいなす」「ファイトする」となります。

では、ロッドの立て方ですが、慣れない方の多くは、手首とグリップを支点に竿を立てて、ティップしか曲げられていない方が多く見られます。

これは、魚を抜き上げたりするときにも同じ事が言えます。
魚を抜き上げる際に「このサイズを抜き上げただけで折れる?」という状況に直面した方の多くは、ロッドの先端付近にしか魚の重みを乗せられていないケースが多く、バット周辺まで曲げられていない事が多いので、過剰な負荷がロッドの一点に集中してしまい、結果的に破損すると言う最悪なケースになる場合があります。

一般的にバットに手を添えて、抜き上げるかと思いますが、上記のようにロッド全体に負荷を掛けられない場合は、そのバットに添える手が逆効果となり、更にロッドの先端付近のみに負荷が掛かってしまいます。
バットに手を添えるのは、ロッド全体に重みを乗せる事を前提として、補助的な役割となります。
更に抜き上げのピーク時には、一気に負荷を掛けるのではなく、ゆっくり重みを乗せる事をお勧め致します。
素早く一気に抜き上げてしまうと、自分の意志と反してロッドティップしか曲げられていない事が多く、更にバットに手を添えている事により、魚の重みをロッド先端のみに集中させてしまっているというケースが多くなります。

お話を戻します。「ロッドを立てる」には、手首でロッドを立てるのではなく、グリップを支点に「竿を起こす事」「手前へ引き込む事」が大切で、グリップからバッドに掛けて、テンションを掛ける必要があります。
極端なイメージですが、グリップエンドを魚に向ける気持ちで曲げる感覚となります。

文書だと難しくなってしまいますが、例えばストレッチの「腹筋運動」と似ています。
腹筋運動をする場合には、頭の後ろ両手を組み、身体を起こしていく動作をしますが、この時に首や背中だけ曲げる動作を繰り返すと、身体を起こすのはかなり大変かと思います。
起こせない事はありませんが、身体の一部にかなり高負荷が掛かってしまいます。
ロッドを曲げる原理も同じです。
もうイメージが出来たかと思いますが、大切なのは、ロッド全体を曲げる事です。

難しいご説明となってしまいましたが、これだけで、ロッドのパワーを最大限に発揮する事が出来て、ロッドのパワー配分をもコントロールすることも可能です。

※「ロッドを立てる」というのは、文章だけで表現するのは難しいので、次回動画も踏まえた解説を改めてご紹介させて頂きます。

今回のAUXレポートは、私が普段からレポート最後に記載している「怖がらずにロッドを曲げる事」というフレーズの代表例かと思います。
上記を意識して頂ければ、より魚のキャッチ率が上がるかと思いますので、ご参考まで。

※ Fishmanロッドに共通しているのが、怖がらずに「曲げること」。
とにかくロッドを十分に曲げる事で、本来の性能を引き出す事が出来ます。
曲げる事が出来れば、あとはロッドが勝手に仕事をしてくれます♬

台灣からRYOがお届けさせて頂きました。
世界中でFishman‼︎
それでは失礼致します。

Taiwan
Rod Technic
Rod : BC4 5.10 series
Angler : RYO

BC4 5.10LH/MXH/XH製品ページはこちら
BC4 5.10LH/MXH/XH関連記事はこちら