BC4 5.10Hプロトタイプで狙う南国のトレバリーゲーム

World TesterのRYOです。
未だコロナの影響により海外渡航できない状況ですので、日本滞在中に釣りへ出掛けたレポートをご紹介させて頂きます。
今回は、沖縄県にある離島・石垣島を舞台としたシャローリーフでのトレバリーボートゲームです。
既にオーストラリアのバラマンディ、マレーシアのトーマンをターゲットにテストを繰り返してきたBC4のプロトタイプである5.10H。
現在は私が使用しているプロトタイプから更なる進化を遂げているはずです。

石垣島ではボートから狙うシャローリーフでのライトゲームというジャンルが人気ですが、今回はプロトタイプのBC4 5.10HとBC4 5.10MXHを持ち込んで、2本を比較しながら小型のGTやカスミアジを狙うことにしました。
カスミアジ
ライトゲームでトロピカルフィッシュを釣っていると混じることもあるトレバリー系ですが、狙って釣るとなると極端に釣果が下がるのも事実です。
今回はいつものレポートとは別の角度から「5.10Hが必要な理由」・「ベイトタックルを使う理由」も掘り下げていきます。

●ベイトタックルは万能ではない
以前からご説明している通り、決してベイトタックルは万能ではありません。
逆風化や軽いルアーをキャストする場合など、スピニングタックルが有利なシチュエーションに直面することもあります。
更に、ソルトゲームでトレバリーや青物などを狙う場合には、ベイトリールの巻き取り速度には限界があるものです。
通常、上記の釣りでスピニングリールを使用する場合には、大型の番手を使用するため「圧倒的な巻き取り速度」が備わっています。
これは「一回転の糸巻き量」という意味もありますが、上記のような魚を狙う場合には「ルアーアクションの速度」が大切となります。

例えば、今回のようにペンシルベイトのドッグウォークアクションで狙う際、ベイトリールの場合は1ピッチアクション×リール半回転=1セットが一連の動作となってしまいます。
私は職業柄、人よりも高速でドッグウォークさせる自信がありますが、それでもベイトリールで上記のような動作をする場合においては、いくらハイギアのベイトリールを使用しても、速度には限界があるのです。
その点、大型のスピリングリールは楽に高速リトリーブが可能です。
更に大型のペンシルベイトを使用する場合には、ロングジャークの大きなストロークでロッドを操作するのが一般的となります。
これは100gを超えるような大型のGTルアーは、連続で長時間ドッグウォークさせることが理論上不可能だからです。

そして私の経験からは、10kg前後のトレバリー系はルアーのアクションが遅いと「見切ってしまう」と感じています。
もちろんスローに動かしてもヒットしますが、極端なことをいうと「ルアーを全力で回収する速度」でも遅い場合があります。
それぐらい高速のドッグウォークアクションでなければヒットしない状況もあるのです。
更に荒れた海面(ラフウォーター)では、水面にルアーが飛びだしたり、潜ってしまったり等、アクションエラーが多発する場合があります。
荒れた海で、一般的なペンシルベイト(バス用/30g前後)を軽快にドッグウォークさせるのは至難の技なのです。

しかし、ピンスポットへのキャスティング能力の他にも、ロッドとリールの一体感を備えるベイトタックルは、腕の一部や延長の感覚で「ダイレクトな魚とのやり取り」もベイトタックルの楽しみの一つとも言えるのです。
圧倒的な不利な状況下でも、私はベイトタックルの中で「楽しみ方の一つ」として見出しています。

●BC4 5.10H誕生の経緯
元々BC4 5.10Hが欲しかった経緯は、代表の赤塚氏に「5.10MXHの操作性はそのままに、キャスティング性能の向上、5.10XHと同等に魚の走りを止められるロッドが欲しい」と打診したことでした。
それから約1年後、送って頂いたのが現在私が所有する5.10Hの初期プロトタイプだったのです。
このプロトタイプは5.10XHよりの仕様なので、私の求めるロッドの弾力を生かしたトゥィッチやジャークといったロッドアクションには若干の強すぎる硬さを感じる印象でした。

●操作速度の限界を超えろ
今回、約30gのペンシルベイトを高速ドッグウォークするために使用したのですが、それが非常に相性が良かったのです。
ペンシルベイトを左右にドッグウォークさせるには、一定の長さのラインスラッグを一定のリズムで弾くようにロッドを煽って操作する必要があります。
ゆっくりとした一定の動作をする場合には、ルアーの重量やアクションの抵抗に関わらず、5.10Lなどの柔らかめのロッドだと軽快に同じリズムで操作することが可能となります。

しかし、上記のように回収するほどの高速ドッグウォークをさせると、どうでしょうか?
ラインスラッグを弾こうとしても、ロッドティップが曲りすぎてしまい、ルアーは綺麗に左右へ動いてくれなくなってしまうのです。
早く動かすほど、ドッグウォークのリズムは乱れてしまい雑な操作になりがちです。

当日も5.10MXHでのキャッチもしていたのですが、操作速度に限界を感じていました。
フィッシングプレッシャーにより単純で遅い動きは「見切ってしまっている」と直感したのです。
試しに5.10Hで操作してみると、非常に快適だったのです。
更に高速でドッグウォークさせても、リズムが乱れることなく操作が可能になったのです。
これは、硬くなりロッドのパワーが増したことで、ラインスラッグを弾いて、次の動作に入るまでにロッドが曲りすぎず、曲がったロッドが素早く復元することにより、素早くラインスラッグの処理が可能になっている効果となります。
高速で連続操作をするには「ロッドを操作する手首の力」「早くハンドルを巻くこと」「リズムを保つ」の3点が必要となりますが、5.10Hならばアングラーの負担を大幅に補ってくれると言えます。
※荒れた海面で軽快に高速ドッグウォークさせるポイントについては、別の機会にご紹介させて頂きます。

●BC4 5.10H(プロト)はこんなロッド
ロッドのパワーや対応ラインも強めに設定されていますので、今回のようなシャローリーフのゲームにおいても、圧倒的なアドバンテージとなります。
カスミアジ
潜られたり走られたりすれば一瞬でメインのPEラインが傷ついてしまうシチュエーションですが、今回もドラグを一切出されることなく写真のようなサイズのカスミアジを僅か2分以下のランディングタイムを実現しています。
魚の走りを簡単に止めることが可能なので、完全に主導権を握ったやり取りができます。

思わず魚のサイズを小さく誤認してしまうほどの感覚です。

ルアーウエイトは10gから100gまで適合していますので、重量系のルアーに特化しています。
テストでは180gのメタルジグをキャスティングしたり、7gのジャークベイトも使用していますが、20gから30gが最も心地よく使用可能と感じています。

キャスティングにおいては、硬い分だけテイクバックからリリースの瞬間に曲げたパワーを手首で返す力は必要となりますが、しっかり曲げることで20g前後のルアーならば簡単に60mから80m飛ばすことが可能です。
「曲げた分だけしっかりパワーが溜まる」というのは健在ですので、5.10XHでキャスティングに難しさを感じている方でも、5.10Hならば軽いルアーを使用した際にもキャスタビリティは向上するはずです。
※プロト段階のデータです。発売時に変更となる場合がございます。

●テクニカルな操作性を求める方へ
ただし、良いことばかりとは限りません。
5.10Hとなったことにより、5.10Lや5.10MXHと比較するとロッドは硬くなっており、自重は若干増しています。
5.10Lや5.10MXHのような軽快な操作をするには手首の負担も大きくなりますので、同じように扱ったり長時間の使用には「ある程度の慣れ」は必要となります。
パワーゲームにおいては5.10XHが必要なシチュエーションも多数存在するので今では手放せないロッドなのですが、5.10Hは格段にテクニカルな操作性は向上していますので
「5.10MXHよりもあと少しパワーが欲しい」
「5.10XHのパワーは必要ないかも」
という方にはおすすめの1本となります。

5.10Hのプロトタイプは、来年の販売に向けて更なる進化を遂げているはずです。
海外の怪魚だけでなく、日本の海での使用も可能なトラベルロッドBC4シリーズ5.10Hをお楽しみに。
カスミアジ
それではRYOがお届けさせて頂きました。
世界中でFishman!!

【タックルデータ】
Rod : BC4 5.10Hプロト(フィッシュマン)
Reel : レボ ビッグシューターコンパクト(アブガルシア)
Line : インショア キャスティング 3号(オクマ)
Leader : ショックリーダー 50lb(バリバス)
Lure : タライロン(イマカツ)

Field : Ishigaki Island / Okinawa
Fish : Bluerfin Trevally
Angler : RYO

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